確かに、俺は楽しんでた。
認められ、大切に扱われ、自信を持っていた。
――いつからだ? 絡みつく視線に耐えられなくなったのは。
肌を這い回る指に 背筋が凍りついたのは……。
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L.A.で脚光を浴び一斉を風靡していたフォトグラファー、クレイ・モルトン。セクシャルなファッション・フォト中心に活動を続けながら周囲の喧噪に疑問を感じていた時、懇意のモデルが薬物中毒で死んでしまった。その事件をきっかけにクレイは転身、一路サラエヴォへと向かう。
現地の政治記者らの揶揄を後目に撮り始めたクレイは、CNN の記者に教わり行った先の病院で、瀕死の友人を担ぎ込んで来たボスニア軍の将校ヤスミンと出会った。またその病院でクレイは NW 誌コザラック記者に誘われ、セルビアの民俗浄化作戦について取材を始めることになる。民俗浄化とは民族の血筋の純血を根絶やしにするため、ボスニアのイスラム女性を辱め混血児を産ませるという醜悪な犯罪だった。クレイはシャッターを押し続けながら傷ついた女性を美しいと感じたが、その手を遮りカメラは突然奪われた。
「……おまえらは人間じゃない。とっとと帰れ、自分の国へ」ヤスミンだった。フィルムを抜き取るとヤスミンは吐き捨てるようにそう言い、その場を去る。外国人、取り分け報道関係者はサラエヴォの地に於いて「招かざる客」であった。 |
これはいちばん好きな作品です。やおい的にはどうでしょう (^^。)、題材も少女まんがとは言えない話だし、以前読者サマからのお手紙でも「描いてる場所が違うんじゃない?」と言われたことあったり。はは、いえ紅井はヤオイ好きですよ、こんなヤオイがあっても良いのではないかと (^o^。)。
ネタの舞台はサラエヴォ。もちろんセルヴォ・クロアート語なんて出来やしませんから、この時初めて翻訳会社に台詞お願いしました。でもセルビアとボスニアで発音は一緒なのにアルファベットが違うんですよね。セルビアはキリル文字、あのロシア語と一緒の。誰もそんなコト気にしやしませんがそこはそれ、一部そちらで訳してくださいと発注しましたらば、そんなモノ出来るひとはこのニッポンにはひとりもいやしませんと突っ返されました。当然だって、ちゃんちゃん (≧▽≦)。。。
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