- SOL INVICTUS/征服されざる太陽 -
NORI CARPERE ISTUM FLOREM, EST ENIM SUA VITA BREVIS.
其の葩を手折るなかれ。其は剰へ、儚きもの故。


 時は西暦26年 ( !! ) (キリストさま26歳の年)、現ローマ皇帝の落胤でローマ軍将校のアントニウスは、ヴィンドボナ (現オーストリア) を制圧した際、その国の王子エルヴェを幽囚に連れ帰った。
 「その花を手折るなかれ、そはあまつさえ儚きもの故……」
 美しい王子を手許に囲いながらいっこうに庇護しないアントニウス。その期にに乗じて、アントニウスに懸想していた上司マライアスは、彼の立場を悪くさせ己れの許に傅かせるため、エルヴェを連れ去るという一計を案じた。
 父を眼前で殺されながらアントニウスを愛してしまったエルヴェは、マライアスに捕らわれ性の奴隷となったが、そんな彼を取り戻しに来たアントニウスを、エルヴェは身を切られるような想いで拒絶する。

 この物語の舞台は古代ローマ。……ははは (^^。)。いえたまぁに滾ってしまうのです歴史モノの血が、ナゼでしょう。雑誌掲載4回で完結したお話で2冊目の単行本なのですけれど、今にして思えばもうちょっと良く考えてから作れば良かった (いつも思うコトなのですが)。特にこの作品に関しては時期尚早だったと思います。自分で良く解って作っていなかったというか折角の舞台が、舞台ばっかりきちんと描いてヒトが全然動いていなかった。うぅ、今だから言えるなこんなコト (T-T。)。その時はその時なりに頑張って作ってはいるのですが、やっぱり突然キリストさま出したり主人公たちに感情移入する以前に手を広げすぎたかなぁ、だって未だにエルヴェ (髪の長い方) のコトなんかよく解っていないもの (つうか共感出来てない)。でも古代ローマは好きなシチュエィションなので、いつかまた是非舞台に据えて、ちゃんと描いてみたいと思っています。
 ちなみに、この単行本で紅井がいちばん気に入っているのはラストに挿入の描き下ろし Story「FILIUS/帝国の子供」、当時の全寮制寄宿舎でのアントニウスと友達のグラッサスとの物語です。グラッサスってイイやつなんですよ。この頃のアントニウスはぢつはウケくさいの。えぇ!! 確信犯です。

1995.10.9(株)ビブロス
 
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